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| アメリカで最初の炭疽菌感染者が見つかって以来、次々とこの菌による感染者が見つかり、生物テロの疑いが極めて高い状況になりました。
国内ではまだ感染者報告はありませんが、テロリストの目的のひとつとして経済破壊・世界恐慌にあるとすれば、日本も充分標的になり得るといわれています。 この炭疽菌による疾患「炭疽 anthrax」について、まとめてみましたのでご覧下さい。 |
| ■炭疽菌 Bacillus anthracis | ||
炭疽菌は土壌中に広く分布しており、主に草食のヒツジやウシに感染症を引き起こす大きさ(長さ)十数μm(=1mmの1,000分の1)細菌です。 畜産業を営んでいるヒトに感染することがある人獣共通感染症の原因菌でもあります。
この菌は酸素を好みますが、菌にとっての環境が厳しくなると芽胞(がほう)という、いわばカプセルのようなものをみずから作り、環境が良くなるまで何年も耐え続けます(右イメージ図)。主にこの芽胞が傷口に付着したり、口や鼻から吸引することによって感染しますが、密殺肉を食したことで感染した例があるそうです。(「密殺肉」って何? ^^;) 炭疽菌は、ごく普通の寒天培地で増菌することができますから、細菌検査室を備えた病院などの医療機関であれば簡単に培養することができます。 空中落下細菌1)を行うとこの菌の仲間が発育してくることがありますから、芽胞の形で、ごく自然に存在するものと考えられます。(炭疽菌は国内での感染例が最近ないことから、分布は非常に限られていると考えられます。)
グラム染色2)をすると陽性に染まり、他のブドウ球菌や、大腸菌よりもはるかに大きい菌ですので、すぐにそれと分かります。 2)グラム染色=細菌を顕微鏡で調べる際に、色付けを行うための一般的な染色法です。青く染まると陽性菌、赤く染まると陰性菌として、細菌の鑑別同定に役立てています。 | ||
| ■炭疽 Anthrax | ||
【感染経路】炭疽菌による感染症を「炭疽」あるいは「炭疽病」といいます。それには主に2つあります。 ひとつは皮膚炭疽、もうひとつは肺炭疽です。(肉を食すことで腸炎を起こしたり、肺炭疽をこじらせると髄膜炎を起こしたりします。これらを入れて厳密には4つの病型があります。) 【皮膚炭疽】 これがもっとも多く、皮膚の傷口などに炭疽菌が入り込み、はじめ皮膚潰瘍を起こし、やがて黒色の膿瘍を作ります。無痛性(痛みがない)のため、のんびり構えていると、リンパ節の腫れや、 やがて敗血症を引き起こし、重篤に陥ってしまいます。こうなると救命することが難しくなります。感染力は強くなく、自然治癒することもあります。 【肺炭疽】 一方、吸引によって口から肺に入った場合は厄介です。はじめインフルエンザのような症状(高熱、咳など)から、やがて呼吸困難に陥り、 さらに咽頭経由や敗血症から、髄膜炎を引き起こすと100%救命できないと言われています。 【治療】 潜伏期は1〜5日と言われています。その後症状が現れるわけですが、感染の早い段階で大量のペニシリン等抗生物質を投与することで治癒(排菌・殺菌)しますので、治療自体は難しいものではないと言われています。 【予防】 炭疽菌に対するワクチンは、炭疽病そのものが非常に珍しい感染症になったことで、ほとんど製造されていません。感染力はそれほど強くないことから、日常的な手洗いやうがい慣行で充分予防できると思います。 また感染者から他の人に伝染することはないと言われています。 今回、アメリカで多くの感染者が出ているのは、一度に大量の菌に曝されたため、身体の防御機構が間に合わないためだと考えられます。 問題は、生物テロ(bio terror)への予防策・対応策ですが、厚生労働省ホームページに掲載されていますので、そちらをご覧になって下さい。
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